日本イギリス哲学会 / Japanese Society for British Philosophy

第48号 2011.10

目 次

コンテンツ

第35回総会・研究大会報告

日本イギリス哲学会第35回総会・研究大会は、2011年3月28日(月)・29日(火)の両日、京都大学吉田キャンパスにおいて開催された。会場校として、大会の準備の段階を含め、開催や運営にご尽力いただいた竹澤祐丈会員および京都大学のスタッフの皆様に支えられ、128名と多くの参加者があった。

第一日目午前中の総会では、会長挨拶、開催校挨拶に続いて、議長に寺中平治会員が選出され、各種議事が滞りなく進んだ。また総会内において、今回で第3回となるイギリス哲学会奨励賞について、該当作なしと発表された。東日本大震災後の社会状況を考慮し、予定されていた会長講演に代え、緊急セッション「東日本大震災のなかで―イギリス哲学研究からのメッセージ」を開催した。坂本達哉会員、一ノ瀬正樹会員、樫則章会員による報告とそれに続く活発な議論がなされ、道徳的行動と生命倫理という観点から自然災害について考える意義あるセッションとなった。

第一日目の午後は、シンポジウムI「ヒューム生誕300年記念シンポジウム『いまなぜヒュームか』」がおこなわれた。坂本達哉、一ノ瀬正樹両会員を司会として、真船えり会員、奥田太郎会員、壽里竜会員、角田俊男会員による報告とそれに続く活発な質疑応答がなされた。専門を異にする会員によって多様なテーマが設けられることで、道徳哲学から政治経済まで幅広いテーマに取り組んだヒュームにふさわしいシンポジウムとなった。

2日目午前中は、14人の会員による個人研究報告が5会場に分かれて行われ、若手の研究者を中心に古典から現代まで様々な分野の意欲的な研究成果が報告された。午後にはシンポジウムII「イギリス思想とヨーロッパの哲学」が川添美央子、関口正司両会員を司会として行われた。報告者は伊豆蔵好美会員、伊藤誠一郎会員、矢島杜夫会員。会場との間で熱心な討議が交わされ、研究大会は盛会のうちに無事終了した。


第36回総会・研究大会について

次回第36回大会は、2012年3月27日(火)・28日(水)の両日、国際基督教大学にて行われます。同大学には、矢嶋直規会員が所属され、大会世話人として大会開催に向けてご尽力いただいております。

第1日目には総会、会長講演、シンポジウムI:イギリスにおける「正義」の諸相(司会:山田園子、桜井徹、報告者:竹澤祐丈、森直人、姫野順一)、第2日目には個人研究報告、臨時総会、記念講演、シンポジウムII:現代のイギリス哲学―ラッセル『哲学の諸問題』出版100年を記念して(司会:伊勢俊彦、中釜浩一、報告者:小草泰、児玉聡、伊佐敷隆弘)が予定されています。

会場、参加申込等の詳しい内容については、1月下旬のプログラム送付の際にご案内いたします。


第3回日本イギリス哲学会奨励賞・選考結果

只腰親和(選考委員長 横浜市立大学)

平成22年度の日本イギリス哲学会奨励賞の候補作の論文3点につき、論文の独創性、論旨の明快さや説得性等の観点から、選考委員会において慎重に審議いたしましたが、本年度は該当作なしという結論に達しました。


学会ウェブサイト移転のお知らせ

これまで、本学会のウェブサイトは、学協会情報発信サービス(国立情報学研究所)のもとで運用してまいりましたが、2012年3月に当サービスが廃止されます。そのため、今後、本学会のウェブサイトは、www.jsbph.orgにおいて運用していくことになりました。

旧ウェブサイトでは、2011年8月1日以降、情報更新をおこないません。新ウェブサイトをご覧頂きますよう、お願い申し上げます。

個人研究発表と論文の公募のお知らせ

各種の公募は、毎年、以下の様におこなわれます。希望者は下記の要領で期日までに申し込んでください。但し、事情により変更の場合もありますので、直前にご確認ください。

(A)各部会研究例会報告
申込締切 各部会研究例会の3ヶ月前
報告時間 60分
申込先  各部会担当理事または事務局
 *2010-2011年度部会担当理事
  関東:坂本 達哉、柘植 尚則
  関西:久米 暁、竹澤 祐丈
  九州:関口 正司

(B)研究大会個人研究発表
申込締切 9月15日(消印有効)
発表時間 40分、質疑応答15分
レジュメ 1600字以内、英語の場合は390ワード以内
申込先  事務局

(C)『イギリス哲学研究』掲載論文
申込締切 9月10日(消印有効)
申込方法
次の要領にしたがって投稿してください。
(投稿規程)

応募論文の審査は以下のように行われています。応募論文は、匿名の査読者2名により審査されます。査読者は、編集委員会が編集委員を除く会員のなかから選出し、応募

者名を伏せて秘密厳守のうえ依頼しています。よって、応募者名、論文名、査読者名は、編集委員会と事務局以外には非公開となっています。

また編集委員は、応募者にも査読者にもなれません。採否は査読者の審査結果によりますが、理事会において掲載論文を決定後、投稿者に連絡いたします。

ACNet(外部委託業者)より

2009年4月1日より、日本イギリス哲学会様の事務支援をさせて頂いております特定非営利活動法人CANPANセンター(学会支援サービス名称:ACNet(エーシーネット))です。

住所変更等の届け出及び会費の納入状況等に関するお問い合わせは、下記のACNet事務局までお願い致します。その他の学術的なお問い合わせは、従来通り日本イギリス哲学会事務局までお願い致します。

お問い合わせ内容 1.住所・所属先等の変更 2.会費納付状況の確認 3.会誌の発送について

※入退会申請については日本イギリス哲学会事務局までお問合せ下さい。

連絡先 特定非営利活動法人CANPANセンター
ACNet事務局 日本イギリス哲学会担当係
〒105-0001東京都港区虎ノ門1-15-16海洋船舶ビル8階
TEL 03-5251-3967 FAX 03-3504-3909
メール:ac013-jsbp@canpan.org
URL:http://acnet.canpan.info/


事務局より

会費納入のお願い

会費未納の方は、1月末までに振り込みをお願いいたします。会費は一律6,000円です。

なお今回の会費請求で、2年間未納の方については、学会誌の送付を停止いたします。さらに5年間滞納の場合は、自然退会となりますので御注意ください。

編集後記

3月11日に起こった東日本大震災と、それが引き金になった福島第一原発の事故によって、日本社会のあり方や将来の見通しを根本的に考え直すことが要求されています。われわれ哲学・思想を研究する者にも、これまでとは異なったしかたで時代の現実に対応することが求められていると思います。震災からわずか半月あまり後の開催となった第35回大会では、急遽プログラムを変更し、緊急セッションを開催することとなりました。緊急に報告や司会を引き受けていただいた方々、また、こうした変更に機敏に対応していただいた会場校には、篤くお礼申し上げます。震災と原発事故後の人間と社会状況のあり方というテーマは、引き続き多くの哲学・思想系学会で取り上げられていますが、当学会としても、一過性のものに終わらせず、長いスパンで取り組んでいくべきものでしょう。

来年3月の第36回大会は、二つのシンポジウムと記念講演に加え、35回大会で行なうことのできなかった会長講演を改めて行なうという、内容の詰まったプログラムとなっております。今春の京都は、非常な寒さに見舞われましたが、来年、春の訪れが遅くなければ、国際基督教大学のキャンパスでは、美しい桜並木がわれわれを迎えてくれることでしょう。今年、震災の影響を受けて大会参加を見合わされた方々はじめ、多くの会員の皆様と再会できることを楽しみにしております。