学会通信 No. 42
2005年10月15日発行

 目次 


1年半後のご挨拶
第29回総会・研究大会報告
第29回総会議事の報告
理事会議事録から
第30回総会・研究大会について
個人研究発表と論文の公募のお知らせ
会員の動静
学会設立30周年記念事業について
ディキンスン教授講演会について
事務局より


 1年半後のご挨拶 


学会30周年を控えて
田 中 秀 夫

 泉谷前会長、早稲田の前事務局から京都大学経済学研究科に事務局を引継いでから、早いもので、すでに1年半が経ちました。途中、事務局の担当者が入れ替わり(竹澤さん、壽里さん、ご苦労様でした)、会員の皆さん、理事の皆さんにご迷惑をかけることも多かったと思いますが、今は幹事として会員の太子堂正称さんと村井路子さん、会計と名簿管理を非会員の逸見修二さん(会計の専門家としての知識をもっていますので助かっていますが、彼はフランスとヨーロッパの近代思想史を研究しています)にお願いして、理事会に際しては中澤信彦さんに応援してもらって運営するという形に定まり、安定してきました。太子堂さんには郵便物の発送や30年史関係を中心に分担してもらっています。村井さんにはホームページの維持管理と文書関係を担ってもらっています。任期は残り半年足らずですが、実は、この半年にはたくさんの仕事があります。ルーティンの学会誌『イギリス哲学研究』第29号の刊行のほかに、30周年記念事業、役員選挙、名簿作成などが主なものです。大過なく役目を果たせるように努めたいと思っています。よろしくご支援をお願いします。

 わが学会は来年、2006年6月に創立30周年を迎えます。30周年は節目であり、30周年を記念して、第30回大会は、充実した大会になるように、主催校の早稲田大学と企画委員会にご努力願いました。また30年史については寺中理事を中心に編集が進められており、早稲田の大会時に会員各位にお渡しできる予定です。さらに柘植理事を中心にして『イギリス哲学思想事典』の企画が進められており、項目案が出揃いつつある段階です。これは来年出版というわけには行かないと思われますが、できるだけ多くの会員の参加を得て、充実した、役に立つ事典にしたいと思っています。

学会のこれからの課題としては、研究論文集の企画、いまだ翻訳のない近代の古典的文献の翻訳、海外の学会との交流の促進、英文出版物の企画、海外の学会や研究集会への会員のより積極的な参加、外国人研究者の招聘、そして地方部会の充実などがあげられるでしょう。またイギリス哲学思想研究の発展のために、さらにいっそう積極的に事業を行っていく必要があります。会員の皆さんからの積極的なご提案を歓迎します。


 第29回総会・研究大会報告 

日本イギリス哲学会第29回総会・研究大会は、2005年3月29日(火)・30日(水)の両日、神戸大学百年記念館(神大会館)にて開催されました。117名の会員の参加を得て盛会となりました。桜井徹会員をはじめとする主催校 神戸大学の皆様、講演・報告・司会を務められた皆様には、心より御礼申し上げます。
 
第一日目午前には、総会の後、隔年に行われる会長講演として、田中秀夫「啓蒙、共和主義、経済学」の報告が行われました。
午後からは「近代イギリス思想における戦争と平和」をテーマとするシンポジウムTが行われました。伊勢田哲治会員、太田義器氏(摂南大学・非会員)、濱真一郎会員による報告に続き、五野井郁夫会員、小田川大典会員からの特定質問を経て、会場全体による活発な質疑と討議が行われました。夕刻には、場所を瀧川記念会館に移して懇親会が開かれ、盛会のうちに第一日目が終了しました。

第二日目午前には、2つの会場において、戒能通弘会員、山本圭一郎会員、瀧田寧会員、小草泰会員による個人研究報告が行われました。
午後には、「時間論:その過去と現在」をテーマとするシンポジウムUが開かれ、大久保正健会員、入不二基義氏(青山学院大学・非会員)、加地大介会員による報告が行われました。会場との間で熱心な討議が交わされ、研究大会は盛会のうちに無事終了しました。


 第30回総会・研究大会について 


次回第30回大会は、2006年3月27日(月)・28日(火)の両日、早稲田大学西早稲田キャンパスにて行われます。同大学には、佐藤正志理事、飯島昇蔵会員など多くの会員が所属されています。山岡龍一理事にもご尽力いただいています。
第一日目にはシンポジウムT「日本イギリス哲学会30周年記念シンポジウム――イギリス哲学研究の現状と展望」、第二日目にはシンポジウムU「イギリス思想におけるプロバビリティ」が予定されています。
 また初日には記念講演としてリーズ大学のスペック教授の「英国の保守主義」についての講演、2日目には9人(3会場)の報告が行われます。
会場、参加申込等の詳しい内容は、2月のプログラム送付の際にご案内いたします。

*なお第31回総会・研究大会(2007年3月)の開催校については同志社大学(今出川学舎)に了承を得ました
(深田三徳、濱慎一郎、戒能通弘会員)。
 

個人研究発表と論文の公募 


各種の公募は、毎年、以下の様におこなわれます。希望者は下記の要領で期日までに申し込んでください。但し、事情により変更の場合もありますので、直前にご確認ください。

(A) 各部会研究例会報告
申込締切 各部会研究例会の2ヶ月前
報告時間 60分
申込先  各部会担当理事または事務局
 *2004−2005年度部会担当理事
  関東:山岡龍一、柘植尚則
  関西:伊勢俊彦、小田川大典
  九州:関口正司

(B) 研究大会個人研究発表
申込締切 9月15日(消印有効)
発表時間 40分、質疑応答15分
レジュメ 1600字以内
申込先  事務局

(C) 『イギリス哲学研究』掲載論文
申込締切 9月10日(消印有効)
申込方法 完成原稿(400字詰め原稿用紙50枚以内)と英文アブストラクト(別紙に100語以内)を事務局に送付 ※


※ 応募論文原稿は、原則としてワープロ・ソフトで作成し、印刷されたものを3部提出してください。そのうちの1部には投稿者名を記載し、残りの2部については投稿者名を記載せず、本文や註に投稿者名が判明するような表現も削除してください。
なお、投稿論文は返却いたしませんので、あらかじめご了承ください。
また、審査の結果、掲載が決定した論文については、追って、フロッピー・ディスクでの入稿を求めますので、電子ファイルの保存をお願いいたします。
応募論文の審査は以下のように行われています。応募論文は、匿名の査読者2名により審査されます。査読者は、編集委員会が編集委員を除く会員のなかから選出し、応募者名を伏せて秘密厳守のうえ依頼しています。よって、応募者名、論文名、査読者名は、編集委員会と事務局以外には非公開となっています。
また編集委員は、応募者にも査読者にもなれません。採否は査読者の審査結果によりますが、理事会において掲載論文を決定後、投稿者に連絡いたします。
学会誌への英語論文投稿に関しては、継続審議中で、結論が出ていません。当分は和文でお願いします。



 会員の動静 


入退会承認後会員数      
正会員 398名
名誉会員 14名
賛助会員 7法人
計 412名・7法人



学会設立30周年記念事業について


日本イギリス哲学会は2006年に30周年を迎えます。そこで記念事業として、『日本イギリス哲学会30年史』の刊行と、『イギリス哲学思想事典』の出版を行うということを決定し、現在、編集作業を進めています。

 『30年史』は学会のサーヴェイと資料編の2本立てにする予定です。編集の準備過程で、実は過去の理事会等の記録が不備であることが判明しました。事務局には、大会記録、年報などはありますが、当初から20年分ほどの総会資料、理事会資料、議事録などがありません。また古い会員名簿もありません。

 そこでお願いです。このような資料をお持ちの方は、しばらく事務局にお貸し願えませんでしょうか。また創立理事などをお努めいただいた会員の手元にはその他、参考になる記録が残されているのではないかと思われます。何でも結構ですから、過去の学会の活動がわかる資料があれば、事務局にご提供いただければ幸いです。総会資料、理事会の資料と記録などがあれば、助かります。

『イギリス哲学思想事典』は大項目の事項と小項目の人名との2本立てにすることが決まりました。最新の事典として専門研究者と市民、学生が利用できる優れた事典にすること、できるだけ多くの会員に執筆していただくことなどが方針となっています。大項目案は委員会で原案が出来つつあります。次回理事会で、執筆候補者の原案をつくり、執筆依頼をすることになりますが、依頼は年明けになろうかと思います。会員各位のご協力をお願いします。出版社については目下、交渉中です。



H・T・ディキンスン教授セミナーについて


2005年3月中旬に、京都大学経済学研究科と早稲田大学においてエディンバラ大学歴史学部のディキンスン教授(Professor H. T. Dickinson)の5回にわたるセミナーが開かれました。このセミナーは、共同研究者である田中秀夫会長を中心に、中澤信彦会員と松園伸会員が準備と運営にあたりました。なかでも3月22日に開かれた第5回は、本学会の後援を受けたものです。さらに会員からも相当数の参加がありましたのでご報告いたします。

ディキンスン教授は18世紀ブリテンの社会思想とくに政治思想の歴史的研究において、指導的な役割を果たしてこられました。主著『自由と所有』は邦訳が近日中に公刊される予定です。
 
セミナーでは、バーク、プライス、ペインを中心に、フランス革命やアメリカ独立革命といった当時の国際情勢に対するそれぞれのリアクションがテーマとなりました。また一方で、カリカチュアのスライドショーなど、ブリテン国内の政治文化についても取り上げられ、思想家たちが国外・国内ともに政治的に緊迫していた時期に対峙していたことがあらためて論じられました。本学会の会員からは哲学、経済思想からのコメントもあり、政治思想にとどまらず広い議論になりました。 用意されたペーパーを越えた議論に発展することも多々ありました。とくに、本学会の後援を受けた第5回セミナーは、「THE RADICALISM OF THOMAS PAINE 1737-1809」というタイトルでおこなわれましたが、最終回ということもあって、熱心な参加者を得ることができたように思われます。予定時間を過ぎても毎回議論は尽きず、休憩時間を削るほどでした。教授を囲む夕食会も含め、盛況のうちに終わることができました。



 事務局より 


会費納入のお願い       
2005年度分までの会費未納の方は、1月末までに振り込みをお願いいたします。会費は一律6,000円です。
 なお今回の会費請求で、2年間未納の方については、学会誌の送付を停止いたします。さらに5年間滞納の場合は、自然退会となりますので御注意ください。

3月末退会希望者等の措置について 
3月末に退会を希望する会員がしばしばありますが、3月末に発刊される学会誌は、新年度の業務を先んじたものですので、新年度の会費が必要となります。
会費納入をめぐるウヤムヤを避けるために、今後事務局は、3月末に退会を希望する会員に対して、学会誌を配布しないことを決定いたしました。ご了承ください。

「会員名簿」の整備について
全巻を揃えるために寄贈を募っています。

名簿作成について
葉書でのデータ報告について 開示項目・非開示項目についてチェック欄を設けた葉書を同封していますので、必ず返送をお願いします。

学会誌バックナンバーについて
学会誌のバックナンバーが在庫荷重になりましたので、理事会において、3部を残して会員に半額で販売することが決定されました。そこで事務局は、ホームページでの目次掲載や電子メールでの広報など販売の努力をいたしました。   しかし、結局数名からの問い合わせしかありませんでした。今後の販売もあまり期待できそうにないので、理事会での審議の結果、3部を残して在庫を処分することに決定いたしました。

ホームページの拡充について  
 継続審議中ですが、国内関連学会、海外関連学会および研究集会の予告、さらに文献情報の提供など、機能を拡充させてはどうかという提案がなされています。

事務局体制の変更について
 事務局の幹事が交代いたしました。竹澤祐丈、壽里竜に代わり、太子堂正称、村井路子、事務局補佐として、中澤信彦、逸見修二になりました。

選挙管理委員について
もう一人の選挙管理委員として岩崎豪人さんにお引き受けいただきました。



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